離婚に伴う年金分割
離婚に伴う年金分割について
年金分割で影響が大きい人は?
分割前 | 厚生年金 | 基礎年金 | TOTAL |
---|---|---|---|
夫 | 180万円 | 70万円 | 250万円 |
妻 | 0円 | 40万円 | 40万円 |
・婚姻期間が長い
・厚生年金保険の加入期間が長い
・第3号被保険者の期間が長い
分割後 | 厚生年金 | 基礎年金 | TOTAL |
---|---|---|---|
夫 | 90万円 | 70万円 | 160万円 |
妻 | 90万円 | 40万円 | 130万円 |
例えば
・夫…厚生年金に40年間加入
・妻…40年間専業主婦の場合
分割後の効果
●分割をした人
・自身の厚生年金の納付記録から、相手方に分割した記録を
除いたその残りの記録に基づいた年金額が支給 ⇒ 減る
●分割を受けた人
・分割を受けた分だけ、自身の年金にプラスされて支給 ⇒ 増える
・年金を受け取れるのは、自身が年金を受給できる年齢に達してから
年金を受給できる要件を満たしていないと、分割は行えない
⇒ 原則・・・保険料の納付済期間が10年以上必要(平成29年8月1日より
従来の25年以上から10年以上に変更)
・分割を行った人が死亡しても、自身の年金額には影響なし
年金分割の手続
①3号分割の請求のみの場合
⑴標準報酬改定請求書を年金事務所へ提出
(第3号被保険者であった者が請求する)
⑵上記請求書には、年金手帳・戸籍謄本・住民票等添付
(詳細は年金事務所にお尋ね下さい)
②合意分割の請求をする場合
⑴年金分割のための情報提供の請求(当事者のどちらでも可)
⑵年金分割のための情報通知書の交付を受ける
⑶年金分割について当事者間で話し合い
⑷合意した場合には年金分割の請求
⑸合意できない場合には、家庭裁判所の調停等裁判手続きを利用
按分割合
・按分割合は当事者が自由に定めることはできない
・範囲が法律で定められている
・標準報酬総額が多い者… 第1号改定者
・標準報酬総額が少ない者…第2号改定者
・按分割合の上限は1/2
・按分割合の下限は分割前の対象標準報酬総額が少ない者の当該額÷分割前の
当事者双方の対象標準報酬総額の合計額
(例)対象期間における第1号改定者の標準報酬総額が6000万円で
第2号改定者の標準報酬総額が4000万円の場合
4000万円 ÷(6000万円+4000万円)=40%
按分割合の範囲は40%を超え50%以下の範囲となる
年金分割について、話合いにより合意したとき
合意内容を公正証書にしておくことをお勧めします。
・年金分割をすること及び請求する按分割合について合意した旨を
記載し、当事者自らが署名した書面
・公正証書…公証役場にて作成
・私署証書…公証役場にて認証
公正証書に記載する必要事項
⑴当事者それぞれの氏名・生年月日・基礎年金番号
⑵年金分割の請求をすることについて当事者間で合意した旨
⑶当事者間で合意した按分割合
協議がまとまらないとき
当事者の一方が、家庭裁判所に申立てをし、①~③の手続に基づき
按分割合を決定する
①家事調停手続 … 調停証書
②家事審判手続 … 審判
③人事訴訟の手続 …判決