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街の法律家 行政書士伊藤武彦事務所

手数料(公正証書作成等に要する費用)

手数料(公正証書作成等に要する費用)

 公証人が公正証書を作成した場合の手数料は、政府が定めた「公証人手数料令」
 という政令により定められています。手数料令には手数料のほか、旅費、日当に
 ついても定められています。

手数料の種類

 手数料令は「法律行為に関する証書作成の手数料」「法律行為でない事実に関する
 証書作成の手数料」「認証に関する手数料」及び「その他の手数料」について、
 詳しい規定を置いており、計算の方式として、目的の価額により算定する方式、
 必要とした時間により算定する方式及び証書等の枚数により算定する方式を
 使い分けています。

法律行為に関する証書作成の基本手数料

①契約や法律行為に係る証書作成の手数料は、原則としてその目的価額により定められて
 います。(手数料令9条)
 目的価額というのは、その行為によって得られる一方の利益、相手から見れば
 その行為により負担する不利益ないし義務を金銭で評価したものです。

 目的価額は、公証人が証書の作成に着手したときを基準として算定します。

 【法律行為に係る証書作成の手数料】

目的の価額手数料
100万円以下5000円
100万円を超え200万円以下7000円
200万円を超え500万円以下11000円
500万円を超え1000万円以下17000円
1000万円を超え3000万円以下23000円
3000万円を超え5000万円以下29000円
5000万円を超え1億円以下43000円
1億円を超え3億円以下43000円に5000万円までごとに13000円を加算
3億円を超え10億円以下95000円に5000万円までごとに11000円を加算
10億円を超える場合249000円に5000万円までごとに8000円を加算

②贈与契約のような当事者の一方だけが義務を負う場合は、その価額が目的価額
 になるが、交換契約のように双方が義務を負う場合は、双方が負担する価額の
 合計額が目的価額となる。

③数個の法律行為が1通の証書に記載されている場合には、それぞれの法律行為ごとに
 別々に手数料を計算し、その合計額がその証書の手数料になります。

 法律行為に主従の関係があるとき、例えば金銭の貸借契約とその保証契約が同一証書
 に記載されるときは、従たる法律行為である保証契約は、計算の対象には
 含まれません。(手数料令23条) 

④任意後見契約のように、目的価額を算定することが出来ないときは、例外的な場合を
 除いて500万円とみなされます。(手数料令16条)

⑤証書の枚数による手数料の加算
 法律行為に係る証書の作成についての手数料については、証書の枚数が法務省令で
 定める枚数の計算方法により4枚(法務省令で定める横書きの証書にあっては3枚)を
 超えるときは、超える1枚ごとに250円が加算されます。(手数料令25条)

売買契約、遺言等の公正証書作成手数料の具体的事例

①売買契約

 土地の売買契約を例にとると、売主は、土地の所有権を買主に移転する義務があり、
 買主は代金を売主に支払う義務がある。
 従って、土地の価格と売買代金の合計額が目的価額となります。手数料令は、
 当事者の一方が金銭のみを給付の目的とするときは、その額の2倍を目的価額
 すると定めています。(手数料令11条1号)
 
 売買代金が5,000万円であれば、その2倍の1億円が目的価額となり、43,000円が
 手数料となります。

②賃貸借契約

 建物の賃貸借契約で、賃料が月額20万円、契約期間が3年間とすると3年分の
 賃料の2倍である1,440万円(20万円×12か月×3年×2倍)が目的価額となるので、
 手数料は23,000円となる。

 賃料のように、定期的に支払いが行われる定期給付契約の目的価額について
 手数料令は期間の価額の総額を目的価額としつつ、最高でも「10年間の給付の
 価額の総額を超えることが出来ない」
と規定しています。(手数料令13条)
 
 従って土地の賃貸借契約のように、期間が30年になる場合でも、10年分の
 賃料の2倍が目的価額となります。

③金銭消費貸借・債務弁済契約 

 金銭消費貸借契約は、貸主が金銭を貸し渡し、借主が借入金の返済を約束する
 ことによって成立する契約ですから、借入金額が目的価額になります。

 従たる契約である利息は、目的価額に含まれません。(手数料令15条)

 債務弁済契約は、既に存在している金銭債務の支払い方法を定める契約で、
 金銭消費貸借と同じく、支払金額のみが目的価額になります。

④離婚給付契約

 協議離婚の届け出に際して約定した慰謝料・財産分与の取り決め又は未成年の子
 の養育料の支払いを公正証書にする場合は、慰謝料・財産分与と養育費は別個の
 法律行為
として取り扱い、それぞれの手数料を算定し、その合計額がその証書
 の手数料の額となります。
 
 ただし、養育料の支払いは、賃料と同じく定期給付に当たるため、支払期間が
 長期にわたる場合でも、10年分の金額のみが目的価額になります。

⑤遺言

 遺言公正証書の作成手数料は、遺言により相続させ又は遺贈する財産の価額を
 目的価額として計算します。

 遺言は、相続人・受遺者ごとに別個の法律行為になります。数人に対する
 贈与契約が1通の公正証書に記載された場合と同じ扱いです。

 従って、各相続人・各受遺者ごとに、相続させ又は遺贈する財産の価額により
 目的価額を算出、それぞれの手数料を算定し、その合計額がその証書の
 手数料の額となります。

 例えば、総額1億円の財産を妻1人に相続させる場合の手数料は43,000円です
 (遺言加算あり)が、妻に6,000万円、長男に4,000万円の財産を相続させる
 場合には妻の手数料は43,000円、長男の手数料は29,000円となり、
 その合計額は72000円となります。

 ただし、手数料令19条は遺言加算という特別の手数料を定めており、
 1通の遺言公正証書における目的価額の合計額が1億円までの場合は、11,000円を
 加算すると規定しているので、72,000円に11,000円を加算した83,000円が
 手数料となります。

 次に祭祀の主催者の指定は、 相続又は遺贈とは別個の法律行為であり、かつ
 目的価額が算定できないので、その手数料は11,000円です。

⑥任意後見契約

 任意後見契約公正証書の手数料は、1契約につき11,000円、それに証書の枚数が
 法務省令で定める枚数の計算方法により4枚(法務省令で定める横書きにあっては
 3枚)を超えるときは超える1枚ごとに250円が加算されます。
 
 報酬の定めがある場合でも、契約の性質上、目的価額は算定不能となるので、
 手数料令16条により11,000円になります。
 
 病院等に出張して任意後見契約公正証書を作成した場合には、遺言公正証書の場合と
 同様に、病床執務加算、日当・旅費が加算されます。

 更に、任意後見契約は登記が必要であり、1契約ごとに、公証人が登記の嘱託を
 することになっています。
 
 このための登記嘱託手数料は、1,400円(手数料令39条の2)ですが、他に収入印紙代
 2,600円が必要です。

その他の法律行為の手数料

①規約設定
 マンションなどの建物の区分所有等に関する法律32条の規定による
 規約設定公正証書の作成手数料は、専有部分の個数により、同法67条2項の規定による
 規約設定公正証書の作成手数料は、建物の棟数により、それぞれ手数料が決められて
 います。(手数料令22条)

  【区分所有等に関する法律32条の規定による規約設定の場合】

専有部分の個数が10個以下の場合23000円
専有部分の個数が10個を超え50個以下の場合10個までごとに11000円を加算
専有部分の個数が50個を超え100個以下の場合10個までごとに 9000円を加算
専有部分の個数が100個を超える場合20個までごとに 6000円を加算

  【区分所有等に関する法律67条2項の規定による規約設定の場合】

建物の棟数が5棟以下の場合項目23000円
建物の棟数が5棟を超える場合5棟までごとに11000円を加算

②委任状公正証書
 委任状公正証書作成の手数料は 定額で7,000円です。(手数料令18条)

③株主総会の決議に関する証書
 後記の事実実験の手数料と同じです。(手数料令20条 26条)
 
④企業担保権
 企業担保権の設定を目的とする契約の証書作成手数料は110,000円で、
 それを変更する場合の手数料は45,000円です。(手数料令21条)

⑤承認等に関する証書
 承認、許可若しくは同意等に係る証書作成手数料は、11,000円です。
 ただし、目的価額による手数料の額の10分の5が11,000円を下回るときは、
 その額。(手数料令17条)

その他の証書作成の手数料

①事実に関する証書作成の手数料
 公証人は、自分で直接見たり聞いたりした内容を公正証書にする事実実験公正証書
 作成をすることができます。

 手数料は、事実実験に要した時間と証書作成に要した時間の合計時間1時間までごとに
 11,000円です。(手数料令26条)

 事実実験が休日や午後7時以降に行われたときは、手数料の10分の5が加算
 されます。

②秘密証書遺言
 秘密証書による遺言方式に関する記載についての手数料は、定額で11,000円です。
 (手数料令28条)

③受取書又は拒絶証書
 受取書又は拒絶証書の作成手数料は7,000円です。(手数料令27条)

認証の手数料

①私署証書の認証

 契約書などの私署証書の認証は11,000円ですが、その内容を公正証書にした
 場合の手数料の半額が11,000円を下回るときは、その下回る額になります。
 (手数料令34条1項)

 従って、身元・財政保証書のように、金額の記載がないため算定不能となる書面
 の場合は、5,500円が手数料になります。また委任状の認証は、委任状公正証書
 手数料の半額である3,500円が手数料となります。

②外国文の認証(外国文加算)

 契約書面が外国語で記載されているときは、上記の手数料に6,000円が加算されます。
 (手数料令34条3項) 

③宣誓認証

 公証人の面前で記載内容が真実であることを宣誓した上で文書に署名・捺印し
 又は署名・捺印を自認したことを認証する宣誓認証の手数料は11,000円です。
 対象文書が外国文であるときは、6,000円の外国文加算があります。

④私署証書謄本の認証

 契約書等の謄本の認証手数料は、5,000円です。(手数料令34条4項)

⑤定款の認証

 株式会社、有限会社の定款に認証を受ける場合の手数料は50,000円です。
 (手数料令35条)

 定款には、印紙税法により40,000円の収入印紙を貼付しなければなりません。
 ただし、電子定款の場合は、印紙は不要とされています。

⑥株主総会その他の集会の議事録等の認証

 株主総会その他の集会の議事録や、建物の区分所有等に関する法律45条による
 集会の決議の認証手数料 上記各手数料は23,000円です。(手数料令34条5項)

⑦電磁的記録の認証

 電磁的記録についての認証の手数料は、11,000円ですが、電磁的記録の内容を
 公正証書にした場合の手数料の半額が11,000円を下回るときは、その下回る
 額になります。(手数料令35条の2)

その他確定日付などの手数料

①確定日付の付与  1通につき700円(手数料令35条)

②執行文の付与   債務名義の正本に執行文を付与することについての
          手数料は1,700円(手数料令38条)

③正本・謄本の送達 1,400円(手数料令39条1項)

④送達証明     250円 (手数料令39条3項)

⑤正本・謄本の交付 1枚につき250円(手数料令40条)

⑥閲覧       証書・定款の原本及びその付属書類の閲覧手数料は
          1回につき200円(手数料令41条)

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