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街の法律家 行政書士伊藤武彦事務所

空家等対策特別措置法について

空家等対策特別措置法について

背景

 適切な管理が行われていない空家等が、防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に
 深刻な影響を及ぼしており、地域住民の生命・身体・財産の保護、生活環境の
 保全及び空家等の活用のため対応が必要(1条)

 ※ 現在、空家は全国約820万戸(H25年)

定義

 ●「空家等」とは、建築物またはこれに附属する工作物であって居住その他の使用が
  なされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する
  物を含む)を言う。ただし、国または地方公共団体が所有し、又は管理する
  物を除く。(2条1項)

 ●「特定空き家等」とは、
  ①倒壊等著しく保安上危険となる恐れのある状態

  ②著しく衛生上有害となる恐れのある状態

  ③適切な管理が行われないことにより著しく景観を
   損なっている状態
 

  ④その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが
   不適切である状態

   にある空家等をいう。(2条2項)

施策の概要

 国による基本指針の策定・市町村による計画の策定等 
 ●国土交通大臣及び総務大臣は、空家等に関する施策の基本指針を策定(5条)

 ●市町村は、国の基本指針に即した、空家等対策計画を策定(6条)・協議会を
  設置(7条)

 ●都道府県は、市町村に対して技術的な助言、市町村相互間の連絡調整等必要な
  援助(8条)

 空家等についての情報収集

 ●市町村長は、
  ・法律で規定する限度において、空家等への調査(9条)
  ・空家等の所有者を把握するために固定資産税情報の内部利用(10条)等が可能

 ●市町村は、空家等に関するデータベースの整備を行うよう努力(11条)

 空家等及びその跡地の活用
  市町村による空家等及びその跡地に関する情報の提供その他これらの活用のための
  対策の実施(13条)

 特定空家等に対する措置

  特定空家等に対しては、除却、修繕、立木竹の伐採等の措置の助言または指導
  勧告、命令
が可能。
  更に、要件が明確化された行政代執行の方法により強制執行が可能(14条)

  財政上の措置及び税制上の措置等
  市町村が行う空家等対策の円滑な実施のために、国及び地方公共団体による
  空家等に関する施策の実施に要する費用に対する補助、地方交付税制度の
  拡充を行う(15条1項)
  このほか、今後必要な税制上の措置を行う。(15条2項)

特定空家に対する措置のポイント

 ●市町村に立ち入り調査権を付与
  特定空家と判断すべきかどうか調査するため、市町村に立ち入り調査の権限が
  与えられました。空家の所有者が立ち入り調査を拒めば、20万円以下の過料が
  科せられる。

 ●撤去や修繕など指導・勧告・命令  
  特定空家と判断されると、市町村長はその所有者に対し、除却、修繕、立木竹の
  伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置を執るよう①助言
  または指導、②勧告、③命令
することができる。(14条1項~3項)

 ●固定資産税の住宅用地特例適用除外
  特定空家と判断され、撤去・修繕などの指導を受けながら改善されない場合、
  勧告が出される。この勧告を受けると、固定資産税などの住宅用地特例の適用
  から除外される
。 (2016年度分から特例の除外対象となる)

  固定資産税の住宅用地特例は、家屋があれば土地の固定資産税を更地の場合
  よりも最大6分の1に優遇する措置。
  特定空家として勧告を受けると住宅用地特例の対象外となり、固定資産税などが、
  最大6倍にまで跳ね上がることになる。
  ※ 実務上は、更地の固定資産税は評価額の70%が課税標準額となるため、
    6倍×70%で4.2倍となる。

  なお、所有者が、勧告または命令の内容を実施し、その勧告または命令が撤回
  された場合、固定資産税等の住宅用地特例の要件を満たす家屋の敷地は、再び
  特例が適用される。

 ●命令に従わなければ50万円以下の過料、強制撤去
  勧告を受けても改善されない場合命令が出される。命令に従わなければ、
  50万円以下の過料を科せられる。
  また、市町村が強制的に撤去するなど行政代執行が可能となっている。
  この費用は所有者から徴収される。

  命令が出された特定空家には、その旨の標識が立つことになる。

「特定空家」の判断基準

  その「空家」が「特定空家」と認められるかどうかは
  ①空家の状態、
  ②周辺への影響の程度、

   の両面から判断されることになっている。

  ①特定空家判断の参考基準・・・ガイドラインの4つの状態
  
  ●倒壊など危険となる恐れのある状態 
  
  「そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となる恐れのある状態」として
  部材の破損や基礎の不動沈下などによる建築物の著しい傾斜、基礎と土台の破損
  変形・腐朽など建築物の構造耐力上主要な部分の損傷、屋根や外壁などの
  脱落・飛散の恐れ、擁壁の老朽化などが例示されている。

  ●衛生上有害となるおそれのある状態

  「そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態」として
  建築物が破損し石綿が飛散する可能性、浄化槽の破損による臭気の発生、
  ごみの放置・不法投棄による臭気の発生やネズミ、ハエ、蚊の発生などが
  例示されている。

  ●景観を損なっている状態

  「適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態」
  として、景観法に基づき策定した景観計画や都市計画に著しく適合しない
  状態になっている。
  屋根や外壁が外見上大きく傷んだり汚れたまま放置されている。
  多数の窓ガラスが割れたまま放置されている状態などが例示されている。

  ●生活環境の保全上不適切な状態

  「その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態」
  として、立木の腐朽・倒壊・枝折れ、立木の枝が近隣の道路にはみ出し
  通行を妨げている。
  動物が棲みつくことによる周辺への影響、不特定の者が容易に侵入できる状態
  などが例示されている。

  ②周辺へ悪影響の及ぼす程度

  空家そのものの状態とともに、周辺の建築物や通行人などが被害を受ける
  状況にあるかどうか、ということも特定空家として指定する上での
  判断基準となる。
  例えば、倒壊のおそれのある空家が狭い敷地の密集した市街地にある場合や、
  通行量の多い主要な道路の沿道に位置している場合は、倒壊した場合に、
  隣接する建築物や通行人に被害が及びやすく、特定空家として措置を
  講ずることが必要とされている。

  そして、その悪影響の程度が社会通念上許容される範囲を超えるか否か
  又差し迫った程度が高いか否かにより判断されることになる。

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