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街の法律家 行政書士伊藤武彦事務所

食品衛生法改正への動き

食品衛生法改正への動き

  食品衛生規制の見直しに関する骨子案 (資料 厚生労働省)

1.趣旨

 ●共働き世帯や高齢者単身世帯の増加を背景に、調理食品、外食・中食への
 需要増加や健康食品への関心の高まりなど、食へのニーズの変化、輸入食品の
 増加など食のグローバル化の進展といった我が国の食や食品を取り巻く環境が
 変化している。

 ●都道府県等を超える広域的な食中毒事案の発生や拡大の防止、下げ止まり傾向
 である食中毒発生数を抑制する必要性があり、食品等を提供する事業者における、
 より一層の衛生管理や、行政による的確な対応が喫緊の課題となっている。

 ●2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催や、我が国の食品の輸出
 促進を見据え、国際標準と整合的な食品衛生管理が求められる。

 ●これらの状況を踏まえ、食品安全の確保のため、消費者、事業者、有識者など
 関係者の意見も踏まえ、以下の内容に基づき、国会に食品衛生法等を改正する所要の
 法案提出を行う。 

2.主な改正内容

①広域的な食中毒事案への対策強化

 ●国や都道府県等が、広域的な食中毒事案の発生や拡大防止のために、相互に連携や
 協力を行うことを明記するとともに、連携や協力の体制整備のため、厚生労働大臣が、
 国や都道府県等の関係者で構成する広域連携協議会を設置することができることと
 する。

 ●緊急を要する場合には、厚生労働大臣は当該協議会を活用し、広域的な食中毒
 事案に対応できることとする。

②HACCP(ハサップ)による衛生管理の制度化

 ●我が国の食品衛生管理水準の向上や国際標準化を図り、事業者自らが取り組む
 衛生管理を推進するため、食品等事業※、 と畜業者等や食鳥処理業者は
 ・ 施設の内外の清潔保持等の一般的な衛生管理に加え、
 ・ 事業者自らが使用する原材料や製造方法に応じて行う、食品衛生上の危害の
   発生を防止するために特に重要な工程を管理するための衛生管理(規模や
   業種等を考慮した一定の営業者については、その取扱う食品の特性等に応じた
   衛生管理)に関する計画を定め、遵守しなければならないこととする。

   ※ 常温で保存可能な包装済み食品のみを販売する営業など公衆衛生に
     与える影響が低いと考えられる業種については対象から除く。

 ●現行の「総合衛生管理製造過程承認制度」(食品衛生法13条)は廃止する。
 ただし、厚生労働大臣が食品衛生上の危害の発生を防止するための措置が講じ
 られていると認めた場合に、食品衛生法で定める食品の製造・加工の企画基準に
 適合しなくとも販売等が出来るとする仕組みは維持する。

③特別の注意を要する成分等を含む食品による健康被害状報の収集

 
 ●健康被害の発生を未然に防止する観点から特別の注意を必要とする成分等※ を
 含有する食品を販売等する事業者は、その製品が健康に被害を生じさせている
 又は生じさせる恐れがある旨の情報を得た場合は都道府県等を通じて厚生労働省に
 報告しなければならないこととする。 

 ※ 厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定する。

 ●また、厚生労働大臣等が健康被害に関する調査を行う場合には、関係者は
 健康被害に関する情報提供に努めるものとする。

④国際整合的な食品用器具・容器包装の衛生規制の整備

 ●食品用器具・容器包装の安全性の確保や規制の国際的整合性の確保のため、
 人の健康を損なうおそれがない場合を除き、合成樹脂等を対象として、規格が
 定められていない原材料を使用した器具・容器包装を販売してはならないことと
 するとともに、製造者は、適正製造管理規範を遵守しなければならないこととする。

 ●器具・容器包装の製造者や販売者は、製品の販売先の事業者に対し、当該製品が
 規格基準に適合する旨の情報を提供しなければならないこととし、器具・容器包装の
 原材料の製造者が、器具・容器包装の製造者等から求められた場合には、その情報の
 提供に努めなければならないこととする。

⑤営業許可制度の見直し、営業届出制度の創設

 ●都道府県ごとに異なる営業許可基準について、厚生労働省令で定める基準を
 参酌し、条例で定めることとする。

 (注) 現行の政令で定める営業許可業種について、営業実態等を踏まえた
     見直しを行う。

 ●公衆衛生に与える影響が少ない営業を除き、営業を営もうとする者は、
 あらかじめ都道府県等に届け出なければならないこととする。

⑥食品リコール情報の報告制度の創設

 ●営業者が製造等をした食品が、食品衛生法に違反した場合等で、当該食品等を
 回収するときは、食品衛生上の危害が想定されない㊁ついては場合を除き、回収に着手した旨
 及び回収の状況を都道府県知事等に報告し、当該報告を受けた都道府県知事等
 は厚生労働大臣等に報告しなければならないこととする。

⑦輸入食品の安全性確保・食品輸出関係事務の法定化

 ●輸出国において食品衛生上の危害の発生を防止するために特に重要な工程を
 管理するための措置(HACCPによる衛生管理)が講じられていることが必要な食品※
 については、当該措置が講じられていることを輸出国の政府機関が確認した施設等
 において製造等されたものでなければならないこととする。

 ※食肉、食鳥肉等を想定

 ●また、衛生管理によっては食品衛生上のリスクが高まるおそれがある食品※ 
 の輸入に当たっては、食品衛生上の管理状況等について、輸出国政府による
 衛生証明書の添付を要件とする。

  ※ 乳、乳製品や生食用カキやフグを想定。

 ●都道府県知事等は、輸出される食品の安全性に関する証明書の発行その他必要な
 措置を行うことができることとする。

⑧その他

 ●行政処分や罰則に関する規定や経過措置などの所要の規定の整備を行う。

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